神奈川県藤沢土木事務所発注の急傾斜地崩壊対策工事において、「ユニットネット工法」を導入いただきました。
施工の経緯
当地域の斜面が土砂災害が起きやすい急傾斜地崩壊対策危険区域、またハザードマップにおいてもレッドゾーン(土砂災害特別警戒区域)にも指定されており、土砂崩れの恐れが高い斜面であったことから、土砂災害防止を目的として実施いたしました。
本現場の斜面は歴史的風土保存区域に指定されているエリア内でもあり、景観の保全が重視されました。そのため、頭部部材については景観塗装(着色)を行っております。また、重機が必要となる従来工法の法枠工や擁壁工を実施することが困難であったため、重機やプラントヤードが不要、かつ使用部材も軽量であるユニットネット工法が採用されました。
ユニットネット工法の特徴
自然斜面補強土工法 「ユニットネット工法」は補強材(ロックボルト)とユニットネットを支圧板により連結し、これらの相互作用により斜面や法面の安定化・土砂崩れによる土砂災害対策を図る地山補強土工法です。
適用対象は、層厚3~4m程度までの土砂崩れによる表層土砂崩壊で、ユニットネットが網状の開放型法面工を形成するため、既存の樹木の保護や景観の保全を図ることができます。目安として1:0.8以下の斜面に最適で、緑化工法との併用により全面緑化も可能です。
主な特徴は下記5点です。
※黄色は今回特に導入に至ったポイントです。
1.環境性
ユニットネットが網状の開放型法面工を形成することから、斜面や法面の切土および樹木伐採を極力行わなくても土砂災害対策・斜面崩壊対策の施工が可能なため、既存の樹木の保護や景観の保全を図ることができます。また緑化工法との併用により全面緑化も可能であり、産業廃棄物の発生が少なく環境負荷の軽減にも貢献します。
2.景観性
ユニットネット工法に使用される各部材については着色塗装をすることが可能です。茶色や黒色などに着色することで、施工完了後の部材が目立たなくなり、自然公園や寺社仏閣等に近い斜面や法面での施工時や文化財等の文化的景観にも配慮することができます。
3.作業環境
斜面や法面へのモルタルによる吹付作業がないため、モルタルの粉塵や跳ね返りの発生がなく、周辺環境や現場従事者の健康に与える悪影響が極めて少ないです。
4.施工性
部材は軽量で、削孔工以外の作業は人力で可能なため、狭い斜面や法面での施工が容易です。
また、大型機械が不要で、軽量な工場製作部材と簡易な施工方法によって施工可能です。
5.経済性
従来の土砂災害対策技術と比べ直接工事費が約30%低減します。
※経済性については、現場によって異なります。
工事概要
工事名:急傾斜地崩壊対策工事
工事場所:神奈川県鎌倉市稲村ガ崎2丁目地内
施工面積:5683m2